体の疲れは食事で改善できる!疲労を回復する仕組みと必要な栄養素

毎日の仕事や家事などで体に疲労が溜まっているという方は多くいるでしょう。
そのような状態だと、自分が思ったように活動することができないので、できるだけ早く回復させたいですよね。

そのために重要なのが「食事」です。
お腹が満たされればよいと思って食事をとっている方もいると思いますが、私たちが普段食べているもので体は作られているため、食事に必要な栄養素が含まれていなければ疲労を回復することができません。

では、食事で疲労を回復させるには、どのような食べ物を摂取すればよいのでしょうか?

食事で疲労を回復できる理由

食事で疲労が回復できるということはよく言われていますが、その理由について知らないという方は多いでしょう。
そこでまずここからは、疲労が溜まる原因と食事で解消できる仕組みについて見ていきましょう。

疲労には3つの種類がある

一言で疲労といっても、その種類を分類すると3つに分けることができます。

その1つ目が「肉体的疲労」です。
たくさん体を動かしたり、常に同じ体勢を維持していると、筋肉が疲労してしまい、疲労感を感じます。

次が「精神的疲労」です。
普段の生活で人間関係に悩んだり、自分の悩みについて考えたりすることによって、精神的に疲労を感じることもあるでしょう。

最後が「神経的疲労」です。
普段の生活で脳をたくさん使うことによって、脳も疲労を感じ、普段通りに機能しなくなってしまうのです。

この3つの疲労が密接に関わり、私たちは「疲れている」と感じてしまうこととなります。

疲労の原因は活性酸素

疲労の原因は、体の中に活性酸素が溜まってしまうことだと言われています。
疲労には3つの要因があるのですが、このような問題が発生した時には体の中では大量の活性酸素が発生します。
活性酸素は元々体に取り込まれた酸素で、体内に入ってきたウイルスや細菌などを攻撃して体を守る動きを行っています。

しかし、その量が増えることによって、健康な細胞や遺伝子も攻撃してしまい、強い疲労を感じるようになってしまうのです。
そのため、活性酸素の発生を抑えるために日常の食生活を変えることが重要だということです。

疲労回復のために必要な栄養素

では、体の疲れを軽減するためにはどのような栄養素を食事で摂取するといいのでしょうか?

ビタミンB1

ビタミンB1は、体の中に取り入れた糖質をエネルギーに変換することができる栄養素です。
そのため、ビタミンB1が不足していると、糖質をエネルギーに変えることができなくなり、疲労を感じたり思ったように活発的な行動ができなくなってしまうのです。

しかし、ビタミンB1をたくさんとったからといって、すぐに疲労がとれるわけではありません。
だからこそ、毎日確実に体に必要な一定量を摂取することが重要だと言えます。

ただ、普段から糖質を多く摂っている方やアルコールを多く飲むという方の場合、糖質の量に対してビタミンB1の量が足りていないという状態になっている可能性があります。
そのような方の場合、より積極的にビタミンB1をとるようにしましょう。

ビタミンB1が豊富に含まれているのは、豚肉や玄米、ナッツ、大豆等です。
豚肉は手軽に食べることができるので、食卓に取り入れやすいと言えるでしょう。また、玄米やナッツ、大豆などはダイエットにも最適な食材なので、疲労を回復しながら自分の目指す体型作りを行うことも可能となります。

アリシン

アリシンとは、強い抗酸化作用がある栄養素です。
単体でも免疫を高めることができるため、有用な栄養素となっていますが、ビタミンB1と一緒にとることによって疲労回復効果を高める作用があると言われています。
そのため、ビタミンB1を含む食材と一緒に調理して食べるといいでしょう。

アリシンが豊富に含まれている代表的な食材は、ネギ・にんにく・にらです。
このような食材は薬味として使われることも多いので、普段の食卓に並べやすい食材と言えるでしょう。

アリシンを含む食材は刻む・つぶす・加熱するなどの調理方法を採用することによって、よりその効果を発揮します。
そのため、このような調理方法は採用した方がよいでしょう。

βカロテン

βカロテンとは、体の中で大量に発生した活性酸素を除去することができる栄養素です。
疲労の原因は活性酸素が健康な細胞を攻撃してしまうことなので、活性酸素の量を減らすことによって疲労感を軽減することが可能です。
そのため、慢性的に疲労を感じている方の場合は普段の食事で積極的に摂る必要があるでしょう。

βカロテンを豊富に含んでいる食材は、緑黄色野菜です。
現代人の食事では、緑黄色野菜が不足している傾向があります。

手軽に食べられるインスタント食品やコンビニご飯では、βカロテンを含んでいる緑黄色野菜を十分にとることは難しいと言われています。
そのため、普段から意識して摂取する必要があるでしょう。

クエン酸

クエン酸とは、エネルギーの代謝を高めるのに必要な栄養素です。
クエン酸をしっかりと摂取することによって、エネルギーをより多く生成することができるので、より活動的に行動することができると言えるでしょう。

すでにクエン酸に関してはさまざまな研究が行われており、継続的に摂取することによって日常生活や運動後の疲労感を軽減することができることが分かっています。
そのため、疲れを感じる時だけではなく普段の食生活から取り入れておくことが重要だと言えます。

クエン酸を多く含んでいる食材は、梅干しやレモン・柑橘系の果物です。
果物にはクエン酸だけではなく、ビタミンCなどの体に必要な要素を同時にとることができるため、魅力的な食材だと言えるでしょう。

また、クエン酸を含む食べ物の多くは酸味が強いものが多いため、食欲を増進することができると言われています。
夏バテなどで食欲がない時にも、クエン酸を含んだ食べ物が有用です。

イミダゾールペプチド

イミダゾールペプチドとは、最近注目されている疲労回復に効果があると言われている栄養素です。
イミダゾールペプチドは体に必ず必要なタンパク質を構成する1つの成分となっています。

まだすべての研究でその効能が認められているわけではありませんが、一定の信頼度がある研究での効果が発表されており、すでに機能性表示食品の関与成分となっています。

イミダゾールペプチドが豊富に含まれている食材は、鶏のむね肉やカツオ、マグロといった食材です。
このような食材にはイミダゾールペプチドだけではなく、さまざまな栄養素が含まれていますし、比較的カロリーが低いので、肥満に悩んでいる方でも気軽に摂取しやすいでしょう。

疲労回復のために食事で気を付けたいこと

疲労を回復するためには、食事で必要な栄養素をしっかりと摂取することが重要となります。
しかし、それ以外にも食事面で気を付けておいた方がよいことは多数あります。
そこでここからは、食事の際に注意しておきたいことについてご紹介していきます。

決まった時間に3食の食事をとる

仕事等が忙しい方の中には、常に食事の時間が異なるという方は多いでしょう。
しかし、食事の時間がばらばらになってしまうと、血糖値の動きが日々異なるため、体に負担がかかりやすい状態となってしまうのです。

消化を行ったり、血糖値の動きを抑える際にもエネルギーを使うため、そのような負荷がかかると疲れがたまりやすくなってしまいます。
決まった時間に必ず食事をとるようにしておけば、体内の代謝がスムーズに行われるため、体への負担を軽減することができ、疲れづらい体を作ることができるでしょう。

間食の回数は減らす

食事を1日3食ではなく、間食をして食事の回が増えてしまっている方もいるでしょう。
しかし、このような食べ方だと体の中の代謝のリズムが狂ってしまいます

そうすると、体に負担がかかり、疲労を感じやすくなってしまうのです。
そのため、できるだけ間食はとらずに、1日3食の食事を規則正しく行うようにしましょう。

カフェインを含んだ飲み物は控える

カフェインが多く含まれたコーヒーやエナジードリンクを飲むと、一時的に元気になったような錯覚に陥ります。
しかし、これはカフェインによる覚醒作用が働いているだけで、根本的な解決にはなっていません。

その上、カフェインの効果が切れると、ごまかされていた疲労を感じることになります。
そのため、適度な量であれば大丈夫ですが、カフェインを常用することは避けておいた方がよいでしょう。

糖分は控える

疲れが溜まっている時には、甘いものを食べたいと感じる人は多くいます。
しかし、糖分が豊富に含まれたお菓子やジュースを摂取すると、血糖値が一気に上昇してしまいます。

急に上がった血糖値は一気に急落してしまい、血糖値が落ち込んだ時に強い疲労を感じてしまうのです。
その上、糖分をたくさんとると、それをエネルギーに変換しようとビタミンB1が使われてしまうため、体内のビタミンB1が欠乏状態となってしまいます。

そうすると、より疲労を感じやすい状態となってしまうため、できるだけ糖分が豊富に含まれた食材は避けておいた方がよいでしょう。

お酒は適度にする

お酒は「百薬の長」と言われており、適度であればリラックス効果を得ることができます。
しかし、大量に飲んでしまうと、体の中に入ったアルコールを分解するために大量のビタミンB1が使われてしまうのです。

そうすると、より強く疲労を感じるようになるため、お酒はあまりのみすぎないように注意しておく必要があるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?普段の生活の中で、知らず知らずのうちに疲労が溜まってしまいます。それを放置しておくと、自分が思ったように活動できなくなってしまう可能性があります。
そのため、普段から疲労を回復できる食生活を送ることが重要となります。

また、食事の摂り方によっても疲労回復を促すことはできるので、ぜひ普段から気を付けてみてくださいね。

この記事を書いた人

ひびようこ

管理栄養士・分子栄養学 栄養カウンセラー

一生ものの食習慣を半年で身につける
プレ更年期・更年期のための食習慣プログラム主宰