管理栄養士・栄養カウンセラーのひびようこ です。(@youkohibi)
更年期には胃腸のトラブルも出やすくなってきます。今まで食べていた量が食べられなくなったり、胃もたれや胃痛を感じて食べ方を控える、胃薬が手放せない、下痢や便秘など、日常の中で少しずつ起こってきて、大きな問題と捉えていないかもしれません。
胃腸は食べたものを消化・吸収する大事な臓器です。食べたものは口から胃・十二指腸・小腸・大腸と通っていきます。胃腸の働きが落ちるということは栄養素の吸収力も落ちるということです。
年齢を重ねていくにあたって、胃腸を整え、食欲をキープしてしっかり食べられることが重要になってきます。胃腸の働きと食欲について対策していきましょう。
食欲が落ちているのは緊急事態!
「最近なんだか食欲がないな」と気づいた時には、すでにだいぶ食べれなくなっている状態かもしれません。
食欲低下度チェック
- 朝ごはんを食べたくない
- 朝はパンだけ、コーヒーだけで済ます
- 朝に卵などタンパク質を食べる気がしない
- 食べたいものが浮かんでこない
- あっさりしたものが良い
- とりあえず炭水化物で簡単に済ませてしまう(おにぎり、サンドイッチ、麺類など)
- お菓子で済ませてしまう
- 食べるのが苦痛
- 食べないほうが身体が楽
当てはまることはありましたか?
下の2つ、「食べるのが苦痛」「食べない方が身体が楽」までいってしまうと、だいぶ食欲が落ちていて回復に時間がかかってしまいます。
食べることはできるし、自分では食欲はあるつもりでも、タンパク質(肉・魚・卵・豆類)を食べたくない状態なら食欲が落ちています。あっさりしたもの、炭水化物のもの、お菓子などで食事を済ませるようになっていたら要注意です。
食欲は急に落ちることもありますし、徐々に食べられなくなっていくということもあります。急な場合は、不調や大きなストレスがかかった時などわかりやすいですが、少しずつ落ちていく時には意外と気づきにくいのです。
食欲不振の負のループ
例えば夏バテ。
暑いからといって、そうめんや蕎麦など食べやすいものばかり食べていると夏バテしやすくなります。暑いと調理もしたくないですし、お肉料理や卵など、よく噛まないと食べられないもの、油こいものがあまり欲しくなくなることもあります。
胃腸で出る消化酵素はタンパク質をはじめ栄養素から作られているので、タンパク質の不足があると消化酵素の分泌も低下していってしまいます。
食べられない
↓
食べやすいもの(糖質)に偏る・食べる量が減る
↓
消化力低下
↓
ますます食べられない
(食欲も落ちる)
という負のループに入ってしまうと抜け出すのが大変です。なるべく早い段階で気づいてリカバリーしていきましょう。
更年期に起こりやすい胃腸トラブル 受診もおすすめ
胃もたれ・胃痛・お腹が張る・気持ち悪い・吐き気・胃酸が上がってくる感じ・げっぷが出る・便秘・下痢(食べるとすぐに下痢をするなど)・軟便など
あまり続くようなら、病院を受診することをおすすめします。
処方や市販の胃酸抑制剤を服用することで、胃酸が抑えられて消化吸収が低下してしまうというデメリットもあるため、長期で薬を飲んでいる場合は、自己判断ではなく定期的に病院で相談するようにしましょう。
胃酸は強い酸性で食べ物の消化(特にタンパク質)と、菌やウイルスの殺菌という役割を果たしています。胃酸を抑えると、それらがうまくいかなくなってしまうため、未消化のタンパク質や菌・ウイルスが腸に流れて行ってしまう可能性があります。
未消化のタンパク質は悪玉菌のエサになることや、菌やウイルスが存在しないはずの小腸に菌が増えてしまうSIBO(小腸内細菌増殖症)につながることがわかってきています。そうなると腸内環境が悪化してしまい、全身に影響が出てきてしまいます。
消化の始まりとして胃酸のはたらきはとても重要です。よく噛むことで胃酸の準備ができるので、しっかり噛むことも心がけましょう。
食欲がない時におすすめの食事
食欲がない時でも食べやすいものをピックアップしてみましたが、食欲がないと言っても、体調が悪い時と通常時では違ってきます。
通常時であれば、自分が食べたいと思ったものを食べて良いです。例えば「最近食欲なかったけれど、あそこのお店のとんかつなら食べられそう」「ハンバーグが食べたいかも」などです。(胃の痛みなどがある場合には、量やよく噛むことは意識しましょう。)
食欲がなくても食べられそうなタンパク質は何か、考えてみることが大事です。
糖質など食べやすいものを食べているとますます胃腸のはたらきが低下していってしまうので、タンパク質を少しずつ増やしていきましょう。
※下痢や嘔吐がある時は無理して食べることはできません。
食べると下痢する、吐いてしまう場合、水分不足になるのとミネラルも一緒に出ていってしまいます。水も飲めない場合は脱水状態になってしまうので、ひどい場合には受診しましょう。
固形物は難しいのでみそ汁やスープなど温かいものを少しずつとりましょう。経口保水液も必要になることがあります。下痢や嘔吐が治まってきたら徐々に固形物に移行していきます。
まとめ
胃腸トラブルがあると食欲が低下してしまい、必要な栄養がとれないことが続くので長期で徐々に栄養が不足してしまう可能性があります。食欲と食べられる量をキープするのは、思いの他大事なことです。(食べすぎの方は注意ですが)
「食欲が落ちてきたかも?」と思った時点でタンパク質を意識していきましょう。がっつりとしたメニューでなくてもタンパク質をとることはできます。
食べられるものを食べていくしかないので、食欲がない時は細かな「食べてはいけない」「食べなけらばならない」を外して、なるべく自分の食べたいものをセレクトしていきましょう。
ストレスが多いと自律神経バランスが乱れて胃腸のはたらきが低下するので、リラックスするのも大事なポイントです。