管理栄養士・栄養カウンセラーのひびようこ です。(@youkohibi)
年齢とともに出てくる肌の悩みは様々です。化粧品やエステなど外から対策をしてみても、効果は今ひとつではないでしょうか。かゆみなどの皮ふトラブルが薬を使ってもなかなか良くならないこともあり長期で悩んでいるということもよく聞きます。
もちろん化粧品を使う楽しみや、エステは癒しにもなるかもしれませんが、お肌は日々の栄養から作られています。何を食べるのかは肌の状態にも影響するということです。まずは毎日のお食事から見直していきましょう。
更年期は肌のトラブルが出やすい 女性ホルモンとの関係
女性ホルモンのエストロゲンは皮膚で皮脂の分泌・水分の保持・角層バリア機能など、皮膚の水分を維持する役割を果たしています。それにより、皮膚の厚み・しわ・保湿などに関わり、加齢による変化を予防しています。
エストロゲン分泌の減少は、乾燥皮膚(ドライスキン)をはじめ、皮膚の萎縮、強度や弾力性の低下、体毛の減少、毛が細くなるなどの変化をもたらします。
その他、更年期特有のホットフラッシュや寝汗など血管運動性症状にも関わっていて、急に顔がほてって熱くなったり、汗が止まらなくなったり、のぼせて顔が赤くなったりすることがあります。
更年期では乾燥皮膚の悩みがとても多くあり、粘膜や皮膚の複数部位に乾燥が同時に起こりやすいそうです。頭皮の乾燥や爪がもろくなるなども起こりやすくなります。
乾燥肌の対策
乾燥肌対策としては、一般的には
・保湿剤を使う
・洗いすぎない
・加湿器を使う
・こたつなど暖房器具を過度に使わない
などが言われています。これらは外側からのケアになります。
健やかな肌に必要な栄養素
皮ふも栄養素からできていると最初に言いましたが、皮ふにとってもタンパク質が重要で、身体の中から、つまり食べることでとる必要があります。
タンパク質は皮ふの表皮細胞や、その下の真皮のコラーゲン・エラスチンの材料にもなるからです。
表皮の一番奥の基底層から新しい細胞が生まれ、だんだんと上に押し上げられ表面に出てきます。そして垢や古い角質として剥がれ落ちることをターンオーバーと言います。4~6週間で行われる仕組みですが、年齢や環境によってサイクルが乱れることがあります。
偏った食事をしたり、刺激になるケアや生活習慣があるとサイクルが乱れるため、老化や肌のトラブルを起こしやすくなります。
皮ふのターンオーバーには、ビタミンAやB群・Dや亜鉛も関わっています。多くの栄養素が健康な肌を作るために必要です。
皮ふの奥、真皮はコラーゲンとエラスチンの網目が支えています。コラーゲンの材料はタンパク質と鉄とビタミンCです。エラスチンもタンパク質からつくられています。コラーゲンとエラスチンが減少すると、肌の弾力・ハリを保つことができなくなり、網目構造の中にヒアルロン酸を保持することもできなくなるため水分も失われていってしまいます。
肌のための食事方法
タンパク質をしっかりとる
肌の細胞やコラーゲンの材料としてタンパク質がベースとして一番重要です。肉・魚介類・卵・豆類をしっかりとるようにしましょう。1食に2品とれるとベストです。例えば お肉+豆腐、魚+卵、肉と魚両方食べるのもOKです。
更年期世代の女性では、1日50g=1食に約17gのタンパク質を目安にします。(日本人の食事摂取基準2020年版 タンパク質推奨量より)
肉・魚は100g食べると約15gタンパク質がとれます。卵・納豆は1個で約7g。100gのお肉を食べてもタンパク質が100gとれるわけではありません。
食品ごとに異なりますが、おおよそのタンパク質量を知っておくと良いです。
ビタミン・ミネラルを多く含むものをとる
肌に必要なビタミン・ミネラルはタンパク質に多く含まれていますから、まずはタンパク質を意識してとります。中でもレバーやうなぎなどにはビタミンA、魚介類にはビタミンDが豊富ですし、これらには鉄や亜鉛などのミネラルも含まれています。
多く含む食品を積極的にとるのと、いろいろな食材を食べることを意識していきましょう。
ビタミンCやB群のうち葉酸は植物性の食品(野菜・果物・芋類・豆類)に多く含まれています。
炎症を促進するものを控える
小麦のグルテンや、過剰な糖質、質の良くない油をとることによって、炎症を促進させてしまうことがあります。肌トラブルのあるときは小麦製品やお菓子やジュース、市販の揚げ物などを控えてみましょう。家で使う油はサラダ油・マーガリンを米油やオリーブオイル・バターに置き換えます。
まとめ
皮ふトラブルの始まりは乾燥から。乾燥を防ぎ肌のうるおいを保つためにも栄養が要ります。更年期には肌の健康を守ってくれていた女性ホルモンの分泌は低下しますが、食事で肌の材料を入れていくことで健やかな肌をできるだけキープしていきましょう。まずはタンパク質を意識するところから始めていきましょう。