40代の冷え症には 食習慣でインナー温活

管理栄養士・栄養カウンセラーのひびようこ です。(@youkohibi)

更年期の悩みとして有名なのは、のぼせたり、汗をかくホットフラッシュですが、反対に冷えを感じてつらくなることもあります。女性では若い頃から冷え性が続いている場合も多いです。

皆さんの平熱は何度くらいですか?35℃台の方も多くいらっしゃいますが、36℃以下では低体温で、体が冷えていて血流も悪い状態です。36.5℃くらいだと免疫も正常に働くことができると言われています。

寒い時期の冷えもつらいですが、季節の変わり目や夏場でもエアコンと屋外の温度差などで冷えを感じることも多いので、通年を通して体の中から根本的に冷え性改善することを意識していきましょう。

冷えを感じやすい女性

なぜ女性が冷えやすいのか栄養学の視点から原因を考えてみると、女性は10代から生理があることから、多くの方で鉄が不足しています。加えて、食事でタンパク質(肉魚卵豆)をしっかりとれていないことが考えられます。

赤血球は身体のすみずみまで酸素を運います。

血液の中の赤血球は鉄とタンパク質からできていて、合成する時には他のビタミンやミネラルを必要とするため、栄養の不足があると赤血球がうまく作れなくなってしまいます。赤血球の質や数などが血流に大きく関わるため、女性では冷えが起きやすくなります。

また、私たちの細胞内のミトコンドリアではエネルギーを産生しているのですが、鉄や酸素が必要なため、不足すると熱をつくり出すことができないということもあります。

女性が冷えを感じやすい要因として鉄不足の他には、生理周期もありホルモンバランスが乱れやすい、筋肉量が少ない、冷えやすい服装、冷たい飲み物や食品をよくとる、ストレス・緊張や環境、喫煙など様々なものがあります。

あなたの冷え症はどのタイプ? 

「冷え性」とひと口で言っても、人によりタイプが異なります。

末端冷え性:手足の先が氷のように冷える。

下半身冷え性:下半身が冷えてむくみやすい。上半身はのぼせが起きることもある。

お腹冷え性:お腹は冷えているが、身体の表面や手足は温かい。みぞおちのあたりを触るとひんやりしている。便秘や下痢になりやすい。

全身冷え性:身体全体が冷える、体温が常に低い。体力がない。甲状腺機能低下症などが潜んでいることもある。

冷えとり食習慣

私たちは食事から栄養をとることによって、身体をつくり、エネルギーを産生しています。体温を保つためには栄養が必要です。生姜や漢方、スパイス&ハーブなどにも温める効果もありますが、基本的な冷え症改善のための食習慣ポイントをおさえていきましょう。

鉄分の補給

女性は毎月の生理と、妊娠・出産でも鉄を多く失います。鉄は食品からはなかなか十分にとりにくいので、意識していないと鉄の収支が見合わないということになります。

40代女性(生理あり)に必要な鉄は1日あたり10.5mgです。充足させようと思うとけっこう大変な量です。

ヘム鉄と非ヘム鉄

鉄には吸収の良いヘム鉄と、吸収されにくい非ヘム鉄があります。

ヘム鉄は動物性のタンパク質の肉や魚などに多く、赤身肉・レバー・魚の血合・内臓などです。

非ヘム鉄には植物性の食品や、卵やアサリなどの貝類に含まれる鉄、食品に添加することができる鉄などがあります。(鉄入りと表示されている加工食品の多くに使われています)

鉄は消化吸収される時にタンパク質と一緒だと吸収率が高まります。身体の中でもタンパク質と一緒に働くことが多いため、ヘム鉄を含む動物性タンパク質をしっかりとることをおすすめします。非ヘム鉄も吸収率は低いですが、両方から鉄を意識してとっていきましょう。

血糖値を乱高下させない

冷えの中でも手足の末端冷え性の方に特に気をつけてほしいのが、血糖値のコントロールです。血糖値の乱高下があると、自律神経の交感神経ホルモン(緊張ホルモン)の影響で血管が収縮してしまい、指先の毛細血管の血流が悪くなってしまいます。

血糖値を乱高下を防ぐには

  • 食事と食事の間を開けすぎない・欠食しない(3食食べる)
  • お菓子や甘い飲み物を控える・量を減らす
  • 食事で糖質をとりすぎない(パンとパスタなど、重ねて食べない)
  • タンパク質+野菜のおかずを一緒に食べる

とくに、食事を抜いたり、糖質だけで済ませてしまうと血糖値の乱高下が起きてしまうので気をつけていきましょう。

いつもの飲み物を見直す

冷え対策としては、冷たいものを飲まないこと、温かいものを飲むことはよく知られています。

温かくても、緑茶やほうじ茶・コーヒーなどカフェインを含むものは冷えに繋がってしまいます。カフェインには利尿作用があり、尿と同時に身体の熱も排出してしまうため、体温が下がってしまうからです。また、これらにはタンニンが含まれていて、鉄の吸収を妨げてしまいます。

そして、カフェインは自律神経の交感神経ホルモン(緊張のホルモン)を刺激します。血管が収縮してしまうため、血流が悪くなり手足の末端が冷える原因になってしまいます。カフェインをなるべく控えていきましょう。

おみそ汁やスープの活用

食事の時に温かい汁物があると、胃腸が温まることで消化もうまくいくのでおすすめです。だし汁や鶏ガラスープなどは、消化しやすいタンパク質を含むため栄養もとれますし、具材に野菜やタンパク質(貝類や卵、豚汁なら豚肉など)を追加することもできます。

持っていると便利な温めアイテム

寒い時には身体を温められるように、温めアイテムを用意しておきましょう。 

おすすめは

  • 羽織るもの(カーディガンやパーカーなど)
  • ストール(首元に巻いたり、ひざ掛けにできる)
  • カイロ(貼るタイプ:腰や背中に貼ることで広範囲を温められる。貼らないタイプ:ポケットに入れておくと手先を温められる)
  • 靴下・手袋(末端冷え性の人はとくに)
  • 腹巻

寒さを感じたらさっと使えるように、一つはバッグに入れておきましょう。

まとめ

冷え性対策のグッズや、おすすめ食材などは多くありますが、根本的には身体の栄養状態によって体温が変わってきます。ぜひ冷えとり食習慣に取り組んでみてください。これまでの食習慣が長かった分、少し時間はかかりますが身体に必要な栄養をしっかりとることで、血流を良くしたり、体温を保つ働き(自律神経バランス)が整っていきます。

体温を保てると、免疫が正常に働くことができますし、身体の隅々まで栄養や酸素などを行きわたらせることにつながります。

「更年期だから代謝が落ちた」「歳だから不調があるのは仕方ない」とあきらめずに、毎日の食事と生活習慣で巡りの良い身体づくりをしていきましょう。

この記事を書いた人

ひびようこ

管理栄養士・分子栄養学 栄養カウンセラー

一生ものの食習慣を半年で身につける
プレ更年期・更年期のための食習慣プログラム主宰