更年期に起きやすいお腹の張りを楽にする ガスの原因と改善のための食事法

管理栄養士・栄養カウンセラーのひびようこです。(@nourish.hibi)

「プレ更年期・更年期のための食習慣プログラム」の参加者様の事例で、お腹にガスが溜まって張っているという方の食事に関する悩みをご紹介します。

タンパク質が身体にとって重要と知ったので、肉や卵を食べる回数や量を増やしました。豆乳やプロテインも合間でとるようにしています。食事を変えてみてから、お腹が張るようになってしまい、ガスが溜まっている感じがします。おならが出ると臭いので気になっています。タンパク質を増やしたせいだと思うのですが、どうしたらよいですか?

食習慣の改善を実践したところ、お腹のガスは改善していきました。同じ悩みを持つ女性は相談時のアドバイスや変化を参考にしてみてください。

お腹にガスが溜まっている状態の簡単な説明

お腹にガスが溜まると、便秘や下痢・軟便など排便がいつもと違ってきたり、ずっとお腹がゴロゴロして、やたらとおならが出るなどを感じます。人によってはゲップが出たり、膨満感で食欲がなくなってしまうこともあるようです。

このように、お腹に違和感を感じてガスが溜まっていると感じた時は、前に食べたものや、最近の食生活を振り返ってみてほしいのです。

お腹にガスが溜まった時に考えられる原因

  • 消化不良を起こしている
  • 小麦・乳製品をよく食べる
  • お菓子や甘い飲み物をよくとる
  • 発酵食品を積極的にとっている
  • あまり噛まずに食べてしまう

などです。

ガスが溜まったり、腹痛、下痢や便秘などを繰り返していると過敏性腸症候群と診断されることもあります。

過敏性腸症候群(英語表記 irritable bowel syndrome の頭文字をとって「IBS」と
いいます)は、お腹の痛みや調子がわるく、それと関連して便秘や下痢などのお通じの
異常(排便回数や便の形の異常)が数ヵ月以上続く状態のときに最も考えられる病気
です。

日本消化器学会ガイドライン 過敏性腸症候群(IBS)ガイド2023より

3カ月など長期で便秘と下痢を繰り返したり、ガスが溜まって腹痛が起きたりする場合には、もしかすると病気が隠れているかもしれないので受診をおすすめします。過敏性腸症候群では、検査を行っても異常なしということもあるそうです。

ストレスとも関係していて、自律神経の乱れによって脳から腸への指令がうまくいかず、腸が収縮して腹痛が起きたり、下痢や軟便になったり、腸の動きが止まってしまって便秘になったりを繰り返してしまいます。

過敏性大腸炎の治療にも生活習慣の改善が重要です。
3食を規則的にとり、暴飲暴食、夜間の大食を避け、食事バランスに注意したうえで、
ストレスを溜めず、睡眠、休養を十分にとるように心がける、とされています。

お腹のガスが溜まったり便の状態が不安定な時にこそ、食事や生活習慣が大事だということです。

お腹が張っている時の食事・飲み物についての注意点

参加者様へのアドバイスとしては、

  • タンパク質は重要だけれども、消化不良を起こすとガスが溜まりやすくなる。
  • まずは、豆乳・プロテイン飲料をやめてみる。
  • 小麦・乳製品をとっているようならやめてみる。
  • 発酵食品をとっているようならやめてみる。
  • 増やした食事でのタンパク質量を少し減らしてみる。
  • 食物繊維やオリゴ糖などで腸活を意識しているならやめてみる。(野菜は適量に)
  • ガスの様子がどうか観察してみる。

などをお伝えしました。タンパク質を増やしたことだけでなく、小麦・乳製品、発酵食品の影響もあるかもしれないので、1つずつやめてみて見極めていきましょう。

※豆乳やプロテイン、食事のタンパク質量は、ガスが改善したらまた少量からとってみて様子を見ていきましょう。

お腹にガスを感じたら、これらについて気をつけてみてください。ガスがあるのに無理をして食べ続けないことがポイントです。

肉・魚介・卵・豆などのタンパク質を意識して食べることは大事ですが、やみくもに増やせば良いというものではありません。これまでタンパク質をあまり食べてこなかった方が、急に食べる量を増やすと消化がうまくいかないということがあります。

食べ物を消化するための胃酸や消化酵素もタンパク質から作られているため、タンパク質不足だった方は消化酵素もうまく作れていなかったり、分泌が少ないことが考えられます。タンパク質が消化不良で未消化のタンパク質として腸の方へ流れていくと悪玉菌のエサになってしまい、悪玉菌がガスを発生することがあります。

良かれと思ってタンパク質をがんばって食べたら、腸内環境が悪くなってしまったのではもったいないですし、逆に「お腹に合わないから」とタンパク質の少ない元の食事に戻してしまうのもおすすめできません。お腹の調子を見ながらタンパク質量を調整していきましょう。

健康のためにと思ってとっている発酵食品や食物繊維・オリゴ糖が原因の場合もあるので、身体に良いものという概念は別にして、一度食べるのをやめてみるのもおすすめです。

お腹にガスが溜まっている時の対応策

何を食べるとお腹にガスが溜まりやすいかには個人差があります。「プレ更年期・更年期のための食習慣プログラム」では、参加者だけが受けられる個別相談を設けてサポートを行っています。

おすすめする食材や飲み物はあくまでも一例です。試してみてお腹の調子をみることを繰り返して観察しましょう。

食べる量を少しだけ減らしてみたり、分けて食べたり、ガスの発生しやすい食材を控えてみるなど、ご自身で探ってみてください。

お腹の張りを感じていても食べられる食材

「タンパク質のせいでお腹が張っている」と感じても、タンパク質はとっていく必要があります。多くの方で、夕食に重きを置いて食べる習慣のことが多いですが、朝昼にもタンパク質をとるようにして、3食で分けて食べるようにしましょう。

基本的に食べてはいけないものはありませんが、人によってガスが発生しやすい食材もあるのでご紹介します。参加者さまへのアドバイスの中にもあった、小麦・乳製品・発酵食品を控えてみることをまずおすすめします。

それでも変化がないと感じたら、同じく腸のガスが溜まる症状が出る小腸の異常発酵を起こすSIBO(小腸内細菌増殖症)の対策として【低FODMAP食】がおすすめされているので参考にしてみてください。徹底的に控えるとなると大変なので、気になるものから控えてみてお腹のガスを観察してみましょう。

低FODMAP食は、これらを控えることによりお腹にガスが発生しにくくしていくための食事方法です。細かく見ていくと次のように食品が分類されます。

高FODMAPの食材を控え、低FODMAPの食材を使うようにしてみましょう。高FODMAPの中に分類されているものの中には「腸活に良い」とされているものも含まれていますが、ガスがおさまるまではやめておくのをおすすめします。低FODMAPの食材を中心に食事をとっていきましょう。

たくさんの食品の分類がされていますので、細かなことを知りたい方はぜひ検索して調べてみてください。タンパク質については、豆類と乳製品以外は低FODMAPの方に分類されていますから、ガスが発生したからと言って肉や卵などを控えなくても良いということです。(量の調節は要ります)

お腹の張りを感じている時に控えたい飲み物

豆乳やプロテインは噛まずに胃に流れ込んでいきます。本来は噛むことで唾液が出て、連動して胃腸が消化準備を行うため、準備ができていない状態でたくさんのタンパク質が入って来てしまうのは負担が大きいのです。

豆乳やプロテインは、ガスがなくて、下痢や軟便・便秘のない状態のときに飲むと良いでしょう。そして未消化のタンパク質はアレルギーのリスクにもなってしまうことがあるので、毎日熱心に連続して飲み続けないことをおすすめします。

お腹のガスと胃腸の関係 

ピロリ菌の検査をしたことはありますか?

また、ご両親や兄弟、祖父母など幼少期に同居していたご家族で胃腸の不調や病気があったり、ピロリ菌の除菌をしたことがある、などはありませんか?もしご家族で当てはまることがあったら、一度ピロリ菌の検査をしてみるのをおすすめします。

ピロリ菌は幼少期に感染し長い間潜伏していますが、特に胃の不調がなければ気づくことがありません。タンパク質の消化吸収の他、鉄分やビタミンB12の吸収も長期に渡って低下してしまいます。

またピロリ菌がいると、アルカリ性の毒素を出し胃酸の酸度を下げてしまいます。胃の粘膜の萎縮も引き起こし、胃酸の分泌能力が弱まってしまうため、消化能力が弱まっている状態が長く続いてしまいます。

胃酸は強い酸で消化と同時に殺菌も行っているため、胃酸の力が弱まると腸へと菌やウイルスが流れていくことも考えられます。胃の状態を整えるためにも、ピロリ菌の検査と除菌もおすすめします。

まとめ

食習慣を身につけた参加者様には、徐々に身体の変化が訪れています。個人差はありますが、自分の身体の状態をよく見て対策することで、悩みを減らしていくことが可能です。

豆乳をやめてみたらガスはだいぶ改善しました。補食として豆乳をとっていましたが、お腹に合わないことが考えられるので、豆乳以外のもので補食をしようと思います。また、パンも食べていたので回数を減らすことにしました。

今回の実例ではタンパク質を増やそうと豆乳を飲まれていました。豆乳が悪いというのではなく、豆乳の量が多いのか、豆乳自体の消化がうまくいかないのかはわかりませんが「お腹に合わないような気がする」と感じたら、やめてみて観察、量を減らしてみて観察、と繰り返しやってみると良いです。「〇〇は良い?良くない?」ではなく、ご自身のお腹と相談していきましょう。

参考文献:「小腸を強くすれば病気にならない」江田証

この記事を書いた人

ひびようこ

管理栄養士・分子栄養学 栄養カウンセラー

一生ものの食習慣を半年で身につける
プレ更年期・更年期のための食習慣プログラム主宰