低体温と冷えに悩む更年期世代のための寒い時期の食事と過ごし方

管理栄養士・栄養カウンセラーのひびようこです。(@nourish.hibi)

更年期に入ったからといって急に低体温や冷えが始まるわけではありませんが、長年の栄養不足が低体温や冷えにつながることがあります。

若い頃は冬でも薄着でいられたのに、30代の半ば辺りから寒さに耐えられなくなってきた方は要注意です。少しでも体温を上げるために、今日から始められる食習慣についてお伝えします。

更年期世代の低体温は、早い方でプレ更年期(35歳くらい)から始まります。体温をこまめに測って、若い頃と比べて何度くらい下がっているかを把握しておきましょう。

若い頃から36度未満の方は、更年期障害として有名な不調に見舞われやすくなります。

更年期が低体温になる理由

更年期における低体温や冷えの原因は自律神経の乱れから起きやすくなります。体内は寒いと感じているのに、ホットフラッシュといって体表面に急なほてりがあり、暑くもないのに汗が吹き出るようなこともあります。

ホルモン補充療法で落ちつく方もいる

自律神経の乱れは、女性ホルモン(主にエストロゲン)の急激な低下によって起こりやすくなります。自律神経が乱れると体温調節がうまくできなくなり、冷えを感じることも増えていきます。

閉経に向かう過程での女性ホルモンの減少は食い止められませんが、毎日の食事から作られるものなので、食事をおろそかにしていると減少の速度も速くなります。

この他に、

  • 運動不足
  • 筋肉量の低下
  • ストレスの増加
  • 基礎代謝量の低下

なども関係しています。

更年期に特有の状態とは別に、甲状腺機能に異常が起こっていることも考えられるので、急激な低体温や冷えを感じたら検査することをおすすめします。

低体温による免疫低下のリスク

「低体温だと免疫力が下がる」といった話を聞いたことがある方も多いでしょう。低体温に定義はありませんが、一般的に36度を下回ると低体温とするケースが多いです(低体温症は35度以下)。

体温が下がることによって免疫低下が起こると、

  • 感染症にかかりやすい
  • がんを発症しやすい
  • 皮膚のトラブルが多い
  • 細菌感染を起こしやすい
  • 自己免疫疾患を発症しやすい
  • さまざまな炎症が起こりやすい
  • 薬や予防接種の効果が落ちる

などのリスクが高まります。

気温が低い冬は身体が冷えやすくて湿度も低いので、ウイルス性感染症に感染しやすくなり、冬の間に何度も風邪やインフルエンザに悩まされる方も多いです。

胃腸の働きも低下するため、食事量が少なくなって低体温を加速させます。加齢とともに病気が増加する原因でもあります。

寒い時期を乗り越えるための食事と過ごし方

食生活を変えると、少しずつ身体に変化が訪れます。熱産生が起こり、寒さに耐えられる身体が作られます。

単純に体温が上がるだけではなく、血流が良くなることにより、

  • 頭痛
  • むくみ
  • 生理前の不調
  • イライラ
  • 不安感
  • 肩こり
  • 腰痛
  • 抜け毛
  • 肌の悩み

といったプレ更年期・更年期の女性に多い悩みも減っていきます。

積極的に食べたい食事

基本的な食事方法として頭に入れていただきたいのは「温かい料理を食べる」です。胃腸を効率よく動かすために、温かい食べ物・飲み物を選ぶようにしましょう。

エネルギーを作るには炭水化物・タンパク質・脂質が必要です。タンパク質は身体作りに利用したい栄養素なので、炭水化物と脂質のバランスを考えて食べるようにしましょう。

糖質制限をしている方は注意してください。お米を控えているのにお菓子類を食べている方も多いですが、お菓子を食べるならお米を食べましょう。お菓子は食事ではありません。

確実に増やしていただきたいのはタンパク質です。更年期世代では大豆製品を積極的に食べる傾向にありますが、毎食でとってほしいのは肉魚卵です。

特に、閉経を迎えるまでは永遠に鉄欠乏を抱える女性は、血流低下・ミトコンドリア機能低下が起こって熱産生がうまくいきません。鉄を摂取するためにも、動物性タンパク質は適度に摂取しましょう。

動物性タンパク質は、私が主宰する「プレ更年期・更年期のための食習慣プログラム」で真っ先に学んでいただく栄養素です。

控えたい食事と飲み物

寒い時期は体温を上げるために熱を作る必要があるため、冷たいものを口にして胃腸を冷やすだけで余計なエネルギーを使います。消化力も落ちるので、熱を作れなくなって低体温と冷えに悩まされます。

外気温と室温の差が出やすい真冬(1月〜3月半ば)は、体内を冷やす料理や飲み物を控えるのは当然のこととして、他にも注意していただきたい点があります。

起床後や夕方の空腹時に冷や汗をかいたり手足が震えたりした経験がある方は、甘いお菓子類やカフェイン入り飲料を控えるようにしてください。特に、チョコレートが手放せない方はこの傾向にあります。

甘いものもカフェイン入り飲料も、一時的なリラクゼーション効果をもたらすことがあります。疲労感が軽減してシャキッと頑張れる気分になれますが、同時に血糖値を急上昇させる性質があり、その後は急激に低下します。

低血糖を繰り返していると熱産生がうまくいかなくなり、低体温に陥る方も多いです。ある一定の年齢から徐々に体温が下がってきている方は、お菓子類・カフェイン飲料・アルコール類を食べたり飲んだりする日数を減らしていきましょう。

体温を上げるための生活習慣

食習慣を変化させることはもちろんのこと、並行して意識していただきたいことがあります。

  • ストレスをためない
  • 適度な運動をする
  • 十分な睡眠時間をとる

多くのストレスを抱えていると交感神経から副交感神経に切り替わりにくいため、身体はずっと緊張状態を保ちます。緊張状態では血管が収縮して血流が下がるため、身体の表面に熱が回らなくなります。

普段から全く運動をしない方は、今日から適度な運動を取り入れるといいでしょう。最初は軽いスクワットからでも構いません。筋肉は年齢とともに衰えていくので、身体の熱も作りにくくなります。マッチョな人たちが冬でも半袖でいられるのは、十分な筋肉があって熱を作りやすいからです。

睡眠時間をおろそかにすると、自律神経が乱れて体温が保ちにくくなります。つい夜更かしをしがちな方や、夜に集中力が必要な仕事や勉強をする方は要注意です。30分ずつでもいいので、徐々に睡眠時間を増やしていきましょう。筋肉の形成や肌の回復にもつながります。

まとめ

更年期における低体温と冷えには、たくさんの栄養素が必要であることがお分かりいただけたと思います。食事方法によっては、熱を作るための栄養素が無駄に使われてしまうこともしばしばです。

今日より若い自分は未来に存在しないので、今から少しずつでも食習慣を変えることをおすすめします。びっくりするくらい冬の寒さに耐えられるようになるはずです。

この記事を書いた人

ひびようこ

管理栄養士・分子栄養学 栄養カウンセラー

一生ものの食習慣を半年で身につける
プレ更年期・更年期のための食習慣プログラム主宰