管理栄養士・栄養カウンセラーのひびようこです。(@nourish.hibi)
「プレ更年期・更年期のための食習慣プログラム」の参加者様の事例で「季節の変わり目に弱くて、いつも体調をを崩してしまう」というお悩みについてご紹介します。
季節の変わり目には、頭痛やめまいが出やすく、免疫力も落ちるからか風邪を引いてしまうことが多い。(自分だけでなく家族も風邪を引く)胃腸も不調になってくると便秘がちになりガスが溜まりやすい。食欲があまりないのでタンパク質を多く食べられず、パンや麺など簡単に食べられるものに偏ってしまう。
食習慣プログラムに参加者さん、特に卒業生では季節の変わり目でも不調なく過ごすことができるようになっています。同じ悩みのある方は、相談時のアドバイスや変化を参考にしてみてください。
更年期と季節の変わり目に直面する私たち
人によって冬から春、夏から秋など体調を崩しやすい苦手な時期があります。季節の変わり目には気温や天候・気圧の変化が大きいことや、季節による様々な環境に身体がついて行かず心身共に様々な不調が出やすくなります。
これらの不調は単に「歳のせい」とか「季節の変わり目だから」と仕方なく思われることが多いですが、実は体調管理の方法や対策をしていれば大きく改善できるかもしれません。どう対処していけば良いのかを具体的に見ていきましょう。
更年期の体調管理 ホルモンバランスを整える食習慣
更年期における体調不良の大きな原因としてホルモンバランスの乱れがあります。特に、女性ホルモンのエストロゲンが減少することで様々な更年期症状が引き起こされます。そしてエストロゲン減少の影響で、自律神経バランスも乱れやすくなることも一つの要因です。
脳の視床下部はいろいろなホルモン分泌の指令を出しているので、女性ホルモンが減少すると回復させようとがんばって指令を出します。そうすると自律神経ホルモンの分泌など、他にも影響が出てしまうと言われています。
「ホルモンバランスまではどうにもならないのでは?」と思われるかもしれませんが、食習慣で影響を少なくすることが可能です。
更年期は、栄養バランスを見直し調整することが特に重要な時期です。日々の食事からの栄養の過不足が体調を左右するからです。更年期の女性が心がけるべき食習慣について詳しく解説します。
体調管理のために気をつけたい食事のポイント
参加者様へのアドバイスとしては、
- 肉魚卵豆類のおかずの量を確保してしっかり食べる。できたら1食に2品。
- ご飯食を基本として、パンや麺など小麦をとる回数を減らす。
- 甘い飲み物は控える。(果汁100%・乳酸菌飲料・お酢ドリンクなども含む)
- カフェイン飲料を控える。
- 外食や総菜を買う時には、タンパク質メニューを選ぶ。
- 胃腸の不調がある時ほど、糖質のみの食事や小麦製品に偏らないよう意識する。
- 食事を抜かない。
などをお伝えしました。疲れている時ほど欲しくなるものもありますが、一旦立ち止まって考えてみましょう。
季節の変わり目は疲れが出やすく、段々と余裕がなくなっていき、食事にまで意識が行かなくなってしまいます。疲労感を感じたら要注意で、無理をしすぎないことと食べるものに気をつけることが、その後不調が大きくなるか、なんともなく乗り切れるかの境目になります。
「ストレスが多いから」「忙しいから」「余裕がないから」「食欲がないから」と、食べやすいものを食べていては栄養不足によって更なる不調に進んでしまいます。お付き合いなどで外食が多く仕方ないこともありますが、そこでも何を選ぶかや食べる量などは可能な範囲で調整しましょう。
季節の変わり目の不調を和らげる栄養素
季節の変わり目は、気候変動による自律神経の乱れや免疫力の低下を引き起こすことがあります。このような時期には、特定の栄養素を補助して強化するのもおすすめです。それぞれの栄養素が持つ役割を知り、日々の食事に取り入れたりサプリメントで補っていきましょう。季節の変わり目に特に注目したい栄養素と、それらを豊富に含む食品について紹介します。
ビタミンB群
ビタミンB群は、エネルギーの代謝を助ける重要な役割を持っています。季節の変わり目の気温や湿度の変化に伴い、体が新しい環境に適応しようとします。この時、体力や免疫力が低下しやすくなり、疲れやすくなったり、風邪を引きやすくなったりすることがあります。また、ストレスが多い時にも消耗しやすいと言われています。
ビタミンC
体の抵抗力が下がりやすい時期はビタミンCの摂取は特に重要になります。ビタミンCの役割には
- 免疫機能のサポート
- 抗酸化作用
- 皮ふの健康維持
などがあります。
免疫システムの正常な機能をサポートし、風邪などの感染症への抵抗力を高めることが知られています。白血球には体を病原体から守る重要な役割がありますが、ビタミンCはこれらの細胞の機能をサポートします。体がストレスを受けやすくなると、活性酸素が増加するため、ビタミンCの抗酸化作用が役立ちます。コラーゲンの生成にも必要で、皮膚の弾力性や修復を助けます。季節の変わり目には皮膚が乾燥しやすくなるため、ビタミンCは健康な皮膚を維持するのにも役立ちます。
ビタミンD
ビタミンDは免疫系の健康をサポートすることも知られています。粘膜を丈夫にして、風邪やインフルエンザなどの感染症から身を守る助けになります。花粉症などのアレルギー対策にもなります。
また、気分を改善するのに役立ち、特に季節性情動障害(SAD)やうつ病の症状を和らげる効果も期待されています。
鉄分
鉄分が不足するとヘモグロビンの生成が減少し、体内の酸素運搬能力が低下することから、疲れやすさや倦怠感などの症状が現れやすくなります。鉄分も体のエネルギー産生や免疫機能の維持に欠かせない栄養素であり、不足すると貧血をはじめとしたさまざまな不調を引き起こす可能性があります。
コラーゲンの材料、脳の神経伝達、免疫にも関わり大事な役割を担っています。生理のある女性では非常に鉄が不足しやすいので、意識してレバーや赤身肉・丸ごと食べる魚などタンパク質を積極的に食べるようにしましょう。ヘム鉄の方が吸収率が高いのでおすすめです。
亜鉛
亜鉛は免疫機能の維持、味覚、皮膚や髪の健康維持など、体の中の何百種類もの機能に関わっています。
特に重要なのが
- 免疫機能の強化
- 肌の健康
白血球の機能をサポートしているので、風邪やインフルエンザなどの感染症から身を守るサポートが期待できます。
また、亜鉛は新しい細胞の生成を助け、傷の治癒を促進します。季節の変わり目は肌の乾燥や肌トラブルが起こりやすい時期でもあるため、亜鉛を適切に摂取することで肌や粘膜を強化していきましょう。
マグネシウム
マグネシウムは、体の様々な生理的機能に必要なミネラルであり、特に自律神経のバランスの維持、睡眠の質の向上・免疫機能の強化などに役立ちます。
気温の低下や湿度の変化により、筋肉や関節に不調を感じやすくなることがあります。マグネシウムは筋肉の収縮とリラックスを助け、筋肉痛やこわばりの緩和に役立つことも知られています。
強化したい栄養素をあげましたが、これらをとるためには食材を食べることが重要です。栄養素は単一で摂っても効果的ではなく、健康を維持していくためには全ての栄養素が必要です。不足しやすい栄養素をサプリメントで補助するのをおすすめしていますが、前提としてまずは食事が土台です。
どんな食材に、どんな栄養素が多いのかを軽くでも良いので知っておくと便利です。ネット検索でも手軽に調べられるので見てみてください。
全体的なエネルギー摂取量も重要で、食べる量が少なかったり、低カロリーだとエネルギー切れを起こし疲労が出やすくなります。逆に過剰な場合には血糖値の乱高下や体脂肪の蓄積などが考えられます。自分にとっての適量を探っていきましょう。
毎日実践!無理なく続けられる健康習慣
健康的な生活習慣を身につけることは、更年期や季節の変わり目に起きやすい不調の軽減につながります。日々の小さな習慣が積み重なり、大きな効果を生み出します。食事の他、睡眠を十分にとる、ストレスを解消するためのリラックス方法や軽い運動など、簡単にできるリフレッシュを大事にしましょう。
リラックスは練習しないと最初うまくできないかもしれません。何回もやっているうちに、身体をゆるめ、ゆったりとできるようになるのでトライしてみてください。自分なりのリラックス方法があると良いです。
まとめ
参加者さんでは、「食習慣を変えてから不調になりにくくなった」と何名もの感想をいただいています。夏バテしやすい方、春先や台風の季節にめまいが出やすかった方もスッキリと過ごせているようです。体調を自分でコントロールができるという自信にも繋がっています。
食習慣プログラムに参加してからは、毎年不調になっていた時期に風邪もひかずに元気に乗り切ることができています。
仕事でストレスが多くなったり、生理の周期で不調の兆しがある時はいつもより少し身体を労わることを意識しています。そんな時はついパンや麺類、お菓子などが食べやすいし欲しくなりますが、それでは不調が悪化してしまう思うと一旦置くことができます。衝動に駆られて食べたいものだけ食べないように気をつけています。
毎年繰り返す不調には不安感やネガティブな気持ちもありました。どんな時期も不調にならずに過ごせたらすごく楽だと思います。気持ち的にも穏やかです。
私だけでなく、家族も風邪を引かず不調もなく過ごすことができています。
更年期や季節の変わり目には、多くの女性が様々な不調に悩まされます。しかし、毎年のことと諦めずに対策していけば、これらの不調を軽減することが可能になります。
毎日の小さな積み重ねや季節の過ごし方のコツを掴むことが、更年期や季節の変わり目を乗り越える力になります。自分の身体と向き合って観察し、更年期も季節の変わり目も健やかに過ごしましょう。
参考文献:「更年期ってこういうこと図鑑」石原新菜
「名医が教える 自律神経がすっきり整うまいにちいいこと366」小林弘幸