管理栄養士が更年期女性にグルテンフリーをすすめる理由と実践方法

管理栄養士・栄養カウンセラーのひびようこです。(@nourish.hibi)

「プレ更年期・更年期のための食習慣プログラム」の参加者様で、なかなかやめられなかったけれど、小麦を減らしてみたら体調が良くなったという事例をご紹介します。

小麦が身体に良くないことを知って学びましたが、パンやパスタ、スイーツが大好きなこともあり、最初は小麦をやめるなんてありえない!と思いました。でも、お腹にガスが溜まりやすいことや便秘、頭痛、肌荒れなどの不調があり悩みだったので、ひとまず試してみようという気持ちになりました。

食習慣の改善を少しずつ実践したところ、体調に変化があり快適さを感じられていました。体調に悩みを持つ女性は相談時のアドバイスや変化を参考にしてみてください。

更年期女性にグルテンフリーを薦める理由

「グルテンフリー」という言葉を聞いたことがない方も多く、日本ではまだ一般的ではありません。欧米ではグルテンフリー食品は市場を拡大していて豊富にお店に並んでいるようです。グルテンフリーについて、「意識が高い人がするもの」とか「特定の人がするもので自分には関係のないこと」と思っていらっしゃるかもしれませんが、ぜひ更年期の女性にも知っておいてほしい食べ方なのです。

グルテンが身体に与える影響とは?

グルテンとは、小麦・大麦・ライ麦など麦系の穀物に含まれるタンパク質の一種です。パンや麺類、多くの加工食品にも含まれており、食品の食感を良くするために利用されています。

グルテンに対する身体の反応は人によって異なります。必ずしも不調が出るわけではありませんが、いつもある不調の原因の一つがグルテンかもしれないのです。

小麦アレルギーチェックリスト

□ 疲れがとれない

□ 常に身体がだるい

□ 頭痛や肩こりがある

□ 関節痛がある

□ 腹痛・下痢や便秘を繰り返す

□ つい食べすぎてしまう

□ 食後に膨満感や胃もたれがある

□ アトピー、ぜんそく、花粉症などのアレルギーがある

□ 肌荒れや乾燥肌に悩んでいる

□ 集中できない

□ イライラする

□ 生理不順や重い生理痛がある

「2週間で体が変わる グルテンフリー健康法」溝口徹 より引用

小麦を日常的にとっていることで、このようなことが起きているかもしれません。控えてみたらスッキリすることがあるので、ぜひ試してみることをおすすめします。

グルテンによって小腸粘膜にダメージを受けてしまうセリアック病という病気があります。小腸の粘膜がダメージを受けると栄養の消化吸収がうまくいかなくなってしまいます。その他、グルテンに免疫が過剰反応してしまうグルテン過敏症・グルテン不耐症という状態もあり、上記のチェックリストのような不調が出やすくなります。多くの方では、まさか小麦が原因で起きているとは思いもよらないかもしれません。

また、小麦は精製されていることや単品で食べてしまうことが多く、血糖値の急上昇も引き起こします。血糖値の乱高下があることでも不調が起きやすくなってしまいます。

グルテンフリーのメリット

グルテンが身体に与える影響が良くないので控えることをおすすめしていますが、逆から見てみると、控えることで健康面などでメリットが多くあるのでグルテンフリーをするといいよ!とお伝えしています。

グルテンフリーの健康効果

小麦を控えることで腸への負担を減らし、腹痛や膨満感・下痢・便秘などのお腹の不調が減り、栄養の消化吸収も良くなることが期待されます。また、免疫の正常化によってアレルギー症状が軽くなることも考えられます。

また小麦製品は一度にたくさん食べることができてしまうため、控えることで食べすぎ防止にもなり、血糖値が乱高下する時の不調も出にくく、体脂肪が増えにくくなる、むくみにくくなるなどのメリットもあるでしょう。

生活の質が上がるグルテンフリー

頭がもやもやして思考がぼんやりとする状態で、記憶力が落ちる、集中力がない、言葉を見つけるのに時間がかかる、判断力が鈍るなど、頭に霧がかかったような状態を「ブレインフォグ」と言います。更年期で女性ホルモンが減少することや睡眠不足、血糖値の乱高下、栄養の不足など他にも要因はありますが、グルテンも一因と考えられています。グルテンを控えることで、頭が冴えスッキリとして家事や仕事が捗るというメリットも得られるかもしれません。

グルテンフリー実践の第一歩

「小麦がダメなら、何を食べたらいいの?」混乱したり、不安になったり、中には怒りが沸いてくる人もいるようです。それだけ日常に浸透していて、おいしく食べているものです。みんなが大好きで依存性も強いので離れがたい気持ちはよく分かります。ですが、お試し感覚でも良いのでひとまずやってみてほしいのです。

グルテンフリーへの切り替え方法

小麦の代わりに何を食べるのか、シンプルに考えるとお米が一番スムーズです。ご飯を主食にするとおかずをとりやすいというメリットがあります。近年の日本ではお米離れが加速しているそうですが、ぜひ小麦生活からお米生活に切り替えていきましょう。

とはいえ、パンが大好きで週7日パンだった方が急に全てご飯に切り替えるのは大変なので、週7→週5→週3→週1→0と徐々に減らすのも良いと思います。なるべく減らせるように段階的にやってみましょう。小麦には依存性があるのでどうしても欲しくなりますが、依存が少なくなってくると執着なく離れることができるかもしれません。

グルテンフリー食生活のポイント

参加者様へのアドバイスとしては、

  1. パンや麺を食べる回数を減らしてみる。ご飯を中心にする。
  2. おかずを必ず一緒に食べ、量を減らす。
  3. 小麦ではないおやつに変えてみる。
  4. 粉もののメニューを控える。(ピザ・お好み焼き・たこ焼きなど)
  5. カレーやシチューなどルウを使わないで作る方法で試してみる。
  6. 依存性が高いので、1回食べたら立て続けに食べないように気をつける。

などをお伝えしました。抵抗のある方は、まず食べる頻度や量を調節するところからはじめてみましょう。小麦でなくても同じ料理を作ることも可能なので、調べてトライするのもおすすめです。

「小麦は身体に悪いものだから食べてはダメ」という感覚だと、食べた時に罪悪感が生まれます。また、徹底的に控えていて久しぶりに食べたら具合が悪くなってしまったというのは、本当には健康な状態と言えません。

時々の楽しみやお付き合いで小麦をとることもあると思いますが、食べる量に気をつけたり、そのまま何日も食べ続けないようにしましょう。「小麦が小麦を呼ぶ」とも言われていて、一度食べるとまた食べたくなるのが小麦です。自分の意志が弱いのではなく、依存性の高いものとして扱うことがポイントです。

グルテンを含む食品と代替品

小麦を含む食品は、ここに挙げたもの以外にも非常にたくさんあります。特にお菓子類・加工食品には多く使われています。裏表示を確認する習慣をつけましょう。

注意点としては、小麦の代わり=米粉なら良いと考えて、米粉で作られたパンや麺、お菓子などを多くとりすぎないようにしましょう。小麦よりは米粉の方が安心なのは間違いないのですが、米粉でも血糖値は上がります。多くとれば血糖値の急上昇を招きますので量には気をつけましょう。また、市販の米粉パンには、もちもち感を出すためにグルテンが添加されていることが多いので確認しましょう。

更年期女性が栄養バランスを保つためのアドバイス

普段の生活の中で、小麦を含む食品は本当に多くあります。「こんなものにも小麦が入っているんだ」と発見することもあります。全てを完璧になくすことは難しいですが、まずは主食をお米に、おかず(タンパク質)をしっかり食べることをベースにしてください。タンパク質が十分にとれていると、やたらと糖質を欲するということが徐々に減っていきます。

「小麦がダメ」という制限に意識を向けるより、食べるべきもの=タンパク質に意識を向けることが重要です。パンや麺だと炭水化物だけで食事が済んでしまうため、タンパク質が不足しやすいのです。タンパク質を優先して量も確保しようと思うと、おのずと小麦製品は後回しになります。

小麦を控えるだけではなく、身体に必要な食品はしっかりとっていくという意識をもつことが、更年期女性の栄養バランスを保つことになるのです。

まとめ

プレ更年期・更年期のための食習慣プログラムの参加者様には、徐々に身体の変化が現れてきます。個人差はありますが、自分の身体の状態をよく見て対策することで、ちょっとした不調を減らしていくことができます。

小麦を控えるのを意識してから、悩みだったお腹の調子が良くなり快調で、頭痛の回数も減り、よくできていた吹き出物が出にくくなっていると感じています。最初はどうしたら良いかわかりませんでしたが、パンや麺類を食べる回数を減らしていくことから始めてみたら意外とスムーズでした。

時々食べることもありますが、そうするとお腹がゴロゴロしたり、頭がボーっとするので、やっぱり控えていた方が調子が良いなと感じます。

今回の実例では、小麦を一気にやめるのではなく徐々に減らしていかれました。気持ちがつらくなりすぎないように、食べる頻度や量を減らすところからでもOKです。プログラムの中では「〇〇は食べてはダメ」に従うのではなく、実験的にやってみてご自身の体調を観察することを大切にしています。不調のある方は、グルテンフリーにトライしてみましょう。1人ではできないと思われたら、プレ更年期・更年期のための食習慣プログラムにぜひご参加くださいね。

参考文献:「2週間で体が変わるグルテンフリー健康法」溝口徹
    「栄養学と食事療法大辞典」L・キャスリーン・マハン他 日本語版監修 香川靖雄他

この記事を書いた人

ひびようこ

管理栄養士・分子栄養学 栄養カウンセラー

一生ものの食習慣を半年で身につける
プレ更年期・更年期のための食習慣プログラム主宰