更年期女性の花粉症が悪化する理由と食事での対策方法

管理栄養士・栄養カウンセラーのひびようこです。(@nourish.hibi)

プレ更年期や更年期に入ると、女性は花粉症を悪化させる方が増えます。今まで症状の出なかった方から「花粉症デビューをした」という話も聞きます。

一般的にはスギ・ヒノキの花粉に反応しやすいですが、ブタクサやヨモギなど約50種類の花粉に反応することも増えるため、時期が来る前に早めの対策が必要です。

今や花粉症は国民病ともいわれる病気になってしまいましたが、食事の改善で身体への負担がかかりにくくなるのでご紹介します。

更年期女性の花粉症が悪化する理由

更年期女性の花粉症が悪化するのは、閉経に向かった身体の変化・生活習慣の乱れ・ストレスなどが大きく、免疫機能が乱れやすくなるからです。

プレ更年期(35歳くらいから)では、高齢出産(35歳以上の初産)が重なるとひどくなる方が多く見受けられます。

女性ホルモンの低下で悪化

プレ更年期に突入した頃から、閉経に向かって緩やかに女性ホルモンは低下していきます。妊娠時にはホルモンバランスが崩れるので、出産が重なった場合はダブルパンチを受けることも多いです。

女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、自律神経のバランスを整えるのに重要なホルモンです。風邪やアレルゲンなどから身を守る免疫機能に大きな影響を与えています。

本来は身体に害のない花粉ですが、免疫が過剰に反応するとアレルギーを引き起こしやすくなります。若い頃から花粉症だった方は、女性ホルモンの低下によって免疫機能のコントロールが効かなくなって悪化する可能性もあります。

ストレスや自律神経の乱れで悪化

プレ更年期世代も更年期世代も、若い頃とは違う大きなストレスがいくつも重なります。

  • 社会的地位の向上
  • 学校関連や地域の仕事
  • 人間関係の複雑化
  • 親の介護

など

女性ホルモンの低下も重なるために自律神経は乱れがちで、腸内環境が悪化しやすくなります。

免疫細胞の約7割は腸(小腸、大腸)に存在しているといわれています。小腸は主に栄養素の吸収・エネルギーを作る役割を、大腸は主に水分調節・小腸で吸収しにくい栄養素の吸収・排せつ機能の役割を果たします。

これらのバランスが崩れると身体に必要な栄養素が吸収しにくくなり、身体に不要な排せつの状態が悪くなっていきます。栄養状態が保てていれば花粉の侵入を防げたり排せつしたりできますが、体内に留まると免疫機能が暴走をして悪化しやすくなります。

睡眠不足で悪化

更年期世代には睡眠不足の悩みがとても多いです。

  • 夜中に何度も目が覚める
  • 寝付きが悪くて眠れない
  • 寝汗がひどくて眠りが浅い

などの悩みを抱える方が増えます。睡眠時間の確保が難しかったり睡眠の質が下がったりして、不眠の症状が慢性化しやすいです。

不眠は更年期障害のひとつで、原因として大きく関わっているのが女性ホルモンの低下です。女性ホルモンの低下が著しいと自律神経が乱れやすくなり、大きなストレスが重なるとさらに眠りの質が下がります。

女性ホルモンの低下や自律神経の乱れによって免疫機能のコントロールが効きにくくなり、花粉症が悪化しやすくなります。

花粉症対策に必要な栄養素

花粉症対策の栄養素は全世代に共通ですが、更年期世代では少しだけ頑張って摂取する必要性があります。

女性ホルモンの低下からは逃れられませんし、優先順位としては命に直結する身体の部位に多く栄養素が使われやすいからです。

無理をして食べる必要はないので、意識をして少しずつ増やしていくといいでしょう。

免疫細胞をつくるタンパク質で予防

タンパク質は脳・骨・自律神経・ホルモン・細胞など、身体の全ての土台となる栄養素です。免疫細胞にも大きな影響を与えるので、毎食の食事で欠かすことができません。

アミノ酸に分解して吸収されたら各組織に運ばれていく

親が避けていて子どもの頃から食べる習慣が少ない方や、大人になってからダイエットなどで避けるようになってしまった方は、意識をして増やしていく必要があります。

厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版)より 
生活活動強度の目安
Ⅰ…散歩・買い物など1時間程度の歩行の他、大部分は座位
Ⅱ…通勤・仕事などで2時間程度の歩行、家事等立位は比較的多いが大部分は座位
Ⅲ…1日1時間程度の速歩・サイクリングなどの活動、大部分は立位の作業で、1時間程度は農作業や漁業などの比較的強い作業

全体的に食べる量が少ない方だと、身体を動かすエネルギーとして使われてしまいます。花粉症の予防に大切な免疫の働きに影響を及ぼすので、食事量も気にしなければなりません。

食べ貯めることもできない上に、身体の中で毎日使われ争奪戦の激しい栄養素でもあるため、少しずつ肉・魚・卵・豆類を増やしていきましょう。

免疫や粘膜強化に関わる栄養素で予防

免疫機能の強化とともに、鼻や喉などの粘膜も強化して予防しましょう。

特に意識していただきたいのはビタミンDやビタミンCですが、ビタミンC以外の栄養素は動物性タンパク質に多く含まれています(レバーにはビタミンCが含まれる)。タンパク質を意識して摂取していると、自然と他の栄養素もとれるようになっていきます。

問題はビタミンCです。免疫機能を高めるために重要な役割をしますが、タンパク質と同じで争奪戦の激しい栄養素でもあります。また、熱に弱かったり水に溶け出したりするため、食材に含まれるビタミンCを余すことなく摂取するのが難しい性質を持っています。

ストレスが多いと需要量が高まるため、更年期世代には不可欠な栄養素です。タンパク質と同様に意識をしてとる必要があります。

症状が出た時の食べ方のコツ

身体の炎症を悪化させやすい食べ物を控えたり、炎症を抑えやすい食べ物を選んだりしましょう。

炎症を悪化させやすい食べ物

健康な状態で口にした時にはそれほど問題が起こらなくても、弱っている状態だと炎症を促進させてしまう食べ物があります。

花粉症による症状が出ている時は、グルテン(小麦製品)・過剰な糖質・酸化した油(揚げ物)などを避けましょう。

スナック菓子の油も酸化しているので注意

スイーツ・麺類(女性に多いのはパスタ)・パンは、全世代の女性に愛されています。小麦や酸化した油を多く体内に入れることになるため、炎症を促進してしまう可能性が高いです。

油を使用した調理も控えたいですが、家族のために必要なら油を変えてみるのも一つの手です。

睡眠時間や良質な睡眠も確保したいので、カフェイン・アルコールの過剰摂取を控えることもおすすめします。

食事のとり方を工夫して、炎症を悪化させにくい身体へと作り替えていきましょう。

炎症を抑えやすい食べ物

タンパク質の中でも魚介類を増やすことをおすすめします。

魚介類(主に魚)にはオメガ3と呼ばれるDHAやEPAといった脂肪酸が多く含まれます。オメガ3にはアレルギーなどの炎症を抑える働きがあるといわれているので、意識をして摂取してみてください。

ただし、注意点もあります。オメガ3は酸化しやすい脂なので、抗酸化作用のある栄養素と一緒に食べることをおすすめします。

油ものを口にした時も意識するとよい

ビタミンAやビタミンEは魚介類にも含まれているので、ビタミンCを合わせた献立を考えるといいでしょう。

魚介類にはビタミンDも多く含まれます。炎症を抑えながら免疫機能の強化・調整をする栄養素の多い魚介類は、花粉症の症状に悩まされている方のスーパーフードです。

まとめ

花粉症を食事だけで改善するのは難しいですが、栄養を意識した食事をすることで身体への負担を減らす工夫はできると思います。

現在は花粉症の症状が出る前から始める治療方法もあるので、より効果を高めるためにも今日から食生活を意識してみてはいかがでしょうか。

自力で意識するのが難しい方には、「プレ更年期・更年期のための食習慣プログラム」で食習慣を身に着けることをおすすめしています。

小麦について(スイーツ類も考え方は同じ)

この記事を書いた人

ひびようこ

管理栄養士・分子栄養学 栄養カウンセラー

一生ものの食習慣を半年で身につける
プレ更年期・更年期のための食習慣プログラム主宰